知の旅

真のリーダー人材に欠かせない知識を 追求する「知の旅」。知識がなく敗れ去る、世界の歴史で幾度も発生した事実は今でも変わりません。 脳科学、世界史、宗教、東洋思想、日本人の価値観、リーダーシップ論、マネジメント論、各戦略論などで「知の旅」をし、役に立つ情報をお届けします。

リーダーシップ論コラム6.「リーダーシップ人材」の選出

先述の通り、不器用人材は戦略的素質を持っています。大体強いコンプレックスを持っていますので、磨けば相当な「リーダーシップ人材」になります。ミスが多く、モノ覚えもあまりよくないけれど、ひたすら努力ができる人材を如何に見つけられるか?がポイントとなります。

 人が成長する原動力は「コンプレックス=憧れる力」です。これが「努力」に直結します。脳科学コラムで記載しましたが、「努力できる」は才能です。

 

小出監督が何の実績もない高橋尚子さんに可能性を見出したのはこの点にあります。何でもそつなくこなせる人材が大成しないのは「憧れる力」が弱い為です。成長する原動力が足りません。

 

・人間とチンパンジーの子供の一番大きな違いは「憧れ」。「憧れる力」こそ、人と

 動物とを分かつ。

『組織サバイバルの教科書 韓非子守屋淳著 日本経済新聞発行社発行

 

 

「リーダーシップ人材」が開花し、「未来への戦略眼」を持つようになると、周囲の④雑音に惑わされません。

・変革のなかで課題を設定するとき、自分だけが周りのメンバーと意見が違うことが

 ある。この時集団圧力に負けて(長いものに巻かれて)、自分が正しいと思う意見を

 述べなかったり、撤回してしまうことがあげられる。変革は、まず成功しない。

『組織変革のビジョン』金井壽宏著 光文社新書発行

 

・利害調整型の人材はとかく衝突を回避するため、トップマネジメントの器ではない。

 礼儀や人間関係を気にするあまり、時には言うべきことを物申すという場面は期待

 できない。利害調整型の人材は、変革を始めるとか、不可避の衝突をことのほか恐れ

 ており、できる限り避けて通ろうとする。

『リーダーシップの教科書』 グロービス経営大学院著 ダイヤモンド社発行  

 

・モノゴトを反応的に浅く捉え、自分の経験則でしかうごけないようでは、組織を変革

 するリーダーにはなれない。周りからよく思われようと迎合してしまうタイプもリー

 ダーにはなれない。組織を変革する時には必ず抵抗があり、批判の声も耳に入るた

 め、それに耐えられるタイプでないと、腰砕けになる。

『学習する組織 現場に変化のタネをまく』高間邦男著 光文社新書発行     

 

 

「リーダーシップ人材」になるためには営業経験が必須です。現場感覚のない未来図

は絵にかいた餅にしかすぎません。

・営業経験の最大の意義は、1対1の折衝を無数に行う業務であることだから。しばし

 ば指摘されるように、結局ビジネスは「1対1」なのだ。

『なぜ、あなたがリーダーなのか』 ロゴ・ゴーフィー ガレス・ジョーンズ著 英治出版発行

リーダーシップ論コラム7.「リーダーシップ人材」の素質

「リーダーシップ人材」になれるか?は「リスクをとってでも勝負できるか?」心胆にもあります。ミスなくやってきた「秀才」人材では無理です。不器用人材が「リーダーシップ人材」になれる理由は、失敗に慣れている側面もあります。

 

・リーダーシップの鍵は、未来を思い描くだけでなく、実現させるのは自分しかいない

 と、己の全存在をかけて信じることにある。

『最高のリーダー、マネジャーがいつも考えている たったひとつのこと』

マーカス・バッキンガム著 日本経済新聞出版社発行

 

 

勉強不足のマネジャーが「リーダーシップ人材」の行動を阻む傾向があります。人間っ

て、自分には理解できない事には否定的になりがちです。「リーダーシップ人材」は

マネジャーの力量を判断した上で、マネジャーが理解できるように工夫が不可欠です。

 

・君主の側近は必ずしも賢者ではない。知者の献策が愚かな側近に判断され国は傾く。

『強者の人間学 韓非子』守屋 洋著 PHP研究所発行

 

 

描いた「未来図」を実現するのには、キレイごとだけでは済みません。どんなに困難でもとことんやり抜く「実行力」が全てです。周りからよく思われようと迎合するようでは「リーダーシップ人材」とは言えません。

 

・未来図の実行は、恐ろしく疲弊する。「あそこから文句が出た」「ここはお金が足り

 ないとか言っている」という声も出るだろうし、変革を厭う人からは嫌われたりもす

 る。疲れても、嫌われても、そこをやり抜く。「リーダーシップ」というと、あふれ

 る才能、発想、行動力で皆が嬉しそうについてきてくれる世界を想像しがちだが、実

 際はどんな困 難なことがあっても、自分が正しいと思ったら実行する、実行力に尽

 きる。

『組織変革のビジョン』金井壽宏著 光文社新書発行

 

・周りからよく思われようと迎合するようでは、変革を担う「リーダーシップ人材」に

 は向かない。組織を変革する時には必ず抵抗があるし、批判の言葉も耳に入る。個人

 的なエゴよりも大きな大義である「皆のため」を優先し、やりとげる「リーダーシッ

 プ人材」の下に人が集まってくる。

『学習する組織 現場に変革のタネをまく』高間 邦男著 光文社新書発行

リーダーシップ論コラム8.「リーダーシップ人材」が力を発揮する方法

多くの企業は戦略策定時、最初から経営幹部を集め、合宿などを行いながら構築する傾向がありますが、そのような戦略はほとんど力がありません。最初から「金平糖の角が落ちている」ためです。ボストンコンサルティング等の外資コンサルティングファームの仕事の仕方は、大体5名前後がクライアント企業の密室にこもって戦略を策定します。戦略の有効性の有無・・・言うまでもありません。

 

ほとんど知られていませんが、戦略とは1人の「リーダーシップ人材」が孤独と戦いながら試行錯誤を何度も繰り返し、作り上げるものです。それをベースにあらゆる社員を巻き込みながら、マネジャー、経営幹部の同意を得た上で実行します。

 

・日本社会は金平糖の角を落とすような議論が多い。平均化によって全ての知性を失

 う。組織改革は、平均化して丸くなってしまった組織、パワーを失った組織に活力を

 よみがえさせる。金平糖らしくするためには、金平糖のどの角をより尖らせるかを模

 索するようなもの。『組織変革のビジョン』金井壽宏著 光文社新書発行

・集団で考えるとかえって深く考えずに決定がなされてしまう病理、あるいは集団の方

 が実は過ちをおかしやすいという病理を「集団浅慮」という。集団を思考の方が個人

 の創造性を妨げるリスクが大きいことは念頭に置かなければならない。

『組織変革のビジョン』金井壽宏著 光文社新書発行

 

・リーダーは、その組織ビジョンを実現する方法を決める際、社員たちも参画させる。 

 こうすることで、社員たちは自分達も組織を管理している実感を得る。

 『リーダーシップの教科書』ハーバード・ビジネス・レビュー編ダイヤモンド社発行

 

「コンタクトのアイシティ」の戦略構築時には、現場から「アイシティをもっとよくしたい」有志を募り、「アイシティを変える100人プロジェクト」を立ち上げました。自分が考えた事について、100人プロジェクトメンバーそれぞれの意見を聞き、「現場が納得する戦略」を構築しました。「現場100人の声がベース」となると、マネジャー、経営幹部層もむやみに否定することはできません。

 

・企画段階から、変化の影響力を一番受ける人を参画させることが際立って重要。

『組織変革のビジョン』金井壽宏著 光文社新書発行

脳科学コラム1.「仕事ができる人」ってどんな人?

脳科学コラムを書く際、以下2人の先生の本をほぼ全て読破し(31冊)、分析。

○池谷 裕二氏 東京大学 薬学部教授 脳科学

        ビートたけしと安住アナウンサーが主演を務める土曜日夜のニュース

        番組「新・情報7daysニュースキャスター」によく出演されているの

        でご存じの方が多いのではと思います。

○中野 信子氏 脳科学

        明石家さんま主演の「ホンマでっか!?TV」でよく出演されています。

 

「仕事ができる人」解明の前に、人間の思考モードを知ってください。

人間は「システム1」「システム2」いずれかを使い、思考します。

 

「システム1」:経験に基づき、モノゴトを瞬時に判断する反射思考モード。

「システム2」: 本来どうあるべきか?どうすべきか?などの熟考思考モード

 

別途コラムで記載しますが、莫大なエネルギーを消費する脳は「極力楽したい」と考えています。そのため日常の意思決定のほとんどは「システム1」が担い、「システム2」はさぼっています。

 

上記行動経済学の基本原理を踏まえた上で、脳科学者は「仕事ができる人」をどのように考えているのでしょうか?

 

池谷 裕二氏VS中野 信子氏 どうなるのでしょうか?

 

池谷 裕二氏の見解:経験による直観力(システム1)を「仕事ができる人」と解釈

・「才能がある人」とは、反射力を上手に使える人のこと。「反射力」とはその場に

 応じて、瞬発力と即興性を持った合理的な判断ができること。何かに躓いたら、適切

 なアイデアを出し打開する、もめた時にどう発言すれば穏やかに解決できるか、など

 を素早く思いつく反射力。『パパは脳科学者』池谷 裕二 著 クレヨンハウス発行

 

・「ひらめき」と「直感」は全く異なる。「ひらめき」は論理的思考を重ねることで、

 なぜか?を説明できる。「直感」は自分でもうまく説明できないけれど「なんとなく

 そう感じる」こと。「ひらめき」の訓練を積み重ねることで「直感」が生まれるよう

 になってくる。

『単純な脳、複雑な「私」』池谷 裕二著 講談社発行

 

・勘は、経験によって培われた無意識で自動的な判断。経験を積んでベテランになるほ

 ど、勘が冴えわたる。

『脳はこんなに悩ましい』池谷 裕二 中村うさぎ著 新潮文庫版発行

 

 

中野 信子氏の見解:「システム1」の弊害を考慮し、「システム2」思考を重視。

・決断力がありすぎることによる弊害がある。「システム1」による“思い切りのよい

 決断”は、深い深慮や緻密な計算が欠けているため、後になって大きな問題が発生し

 てしまうことがある。時間はかかるけれど「システム2」による熟考が必要。

・決断力は“蛮勇”と隣り合わせ、そして一方の優柔不断は“慧眼”と隣り合わせ。優柔不

 断は決して悪いことではなく、「システム2」を使ってじっくり考えている証拠。

『あなたの脳のしつけ方』中野 信子 著 青春出版社発行

 

『結論』

「システム2」で熟考を重ねることにより、池谷 裕二氏が指摘している通り

「システム1」での直観は冴えわたります。但し「システム2」を鍛えることが大前提であることを池谷裕二氏、中野信子氏は指摘されています。

 

「システム2」による熟考鍛錬→「システム1」の直観力への反映が、「仕事ができる人になる」為に必要なゴールデン・ルールです。

脳科学コラム2.「ゆでないカエル」思考とは?

「脳の柔軟性」、かなり奥が深い話です。変化への適応力の例として、よく挙げられるのが「ゆでカエル」。カエルをいきなり熱湯に入れたら、カエルは驚きすぐにジャンプして脱出をはかります。しかし「ゆでカエル」、最初は適温につかり、徐々に湯の温度があがる状況では温度の変化に気づかず、そのままゆでられてしまいます。

 

実社会で考えると、デジタルカメラ市場が「ゆでカエル」に相当するかと思います。

2020年度のデジタルカメラ市場、2010年度と比較してどうなっていると思いますか?

実は9割減です。キヤノンオリンパスは他でも大きな事業を持っているので、撤退しても何とかなりますが、カメラ専業のニコンとなると逃げ道がありません。

 

2001年、当時のアイフォンがCMで「写メ」をDragon Ash「Life goes on」の曲で大体的に打ち出したとき、素人でも「近い将来デジタルカメラはなくなるな」と分かっていました。写真とコミュニケーションって最強のタッグなので、写真のみのデジタルカメラに勝ち目はありません。

 

変化が訪れても適応できる「脳の柔軟性」とは何か?一言で表現することができません。脳そのものの特性を理解する必要があります。

次回以降、この点を紐解いていきます。

 

人工知能時代にて、求められる能力は「脳の柔軟性」。どんな変化が訪れても適応

 する力があれば問題ない。

『できない脳ほど自信過剰』池谷 裕二著 朝日新聞出版発行

 

・一番大切な脳の機能を1つだけ挙げるとすれば「予測して対処すること」。記憶と

 いう脳の機能が何のためにあるのかと言えば、その知識を未来に活かすため。

『パパは脳科学者』池谷 裕二 著 クレヨンハウス発行

 

前頭前野が衰えない人は、普段から「こうに決まっている」と判断せず、常に合理的

 思考、客観的思考で考える。

『人は、なぜ他人を許せないのか?』中野信子著 アスコム発行

脳科学コラム3.ルーティンワーク、マンネリが脳を衰えさせる

脳の本質の1つは「モノとモノを結びつけて新しい情報を作る」こと。常に外からの情報を求めています。その為には「自分はもっと成長したい」原動力が必要。ルーティンワークで満足し「今のままでいいや」とう姿勢では全てが台無しになります。

 

爆発的成長プログラムは脳の本質「モノとモノを結びつけて新しい情報を作る」にそのまま従っています。

 

・脳のはたらきは、「ものとものとを結びつけて新しい情報を作っていく」が基本。

 そのため脳は常に外からの刺激を求めている。

『海馬』池谷 裕二 糸井 重里著 新潮文庫発行

 

・脳の神経細胞はタフ。使わないのが一番の無駄で、使えば使うほど密になる。脳は

 刺激がないことに耐えられない。『海馬』池谷 裕二 糸井 重里著 新潮文庫発行

 

・ルーティンワークだと、脳の中のネットワークの再編成がおこらなくなってしまう。

『海馬』池谷 裕二 糸井 重里著 新潮文庫発行

 

・年をとると変わるのはシータ波。シータ波は面白いと感じているか?知的好奇心を

 持っているか?探求心を持っているか?に関係する。シータ波少ないと、ビジネスの

 最大の敵「マンネリ化」につながり、結果何も新しいコトは生れなくなる。

『できない脳ほど自信過剰』池谷 裕二著 朝日新聞出版発行

脳科学コラム4.「脳が老ける」って何?

「知りたい・学びたい」「達成感を味わいたい」は脳の本能です。爆発的成長プログラムはこの本能に忠実に従っています。

 

・「脳が老ける」とは夢を持てなくなること。

『脳には妙なクセがある』池谷 裕二 著 扶桑社新書発行

 

・脳にとっての幸福は、学び続け、成長し続け、達成を繰り返すこと。もう学ばなくて

 いい、成長しなくていいと現状に満足してしまうと、脳はそこで成長がとまるどころ

 か、衰え始める。なぜなら「知りたい・学びたい」「達成感を味わいたい」という脳

 の本能に反する生き方であるため。

脳科学からみた「祈り」』中野 信子 著 潮出出版社発行

 

・波風が立たない人生の日々は、脳にとっては何の新鮮もない砂漠。平穏無事な日々は

 脳を衰えさせる。

『生きるのが楽しくなる脳に効く言葉』中野 信子 著 幻冬舎新書