知の旅

真のリーダー人材に欠かせない知識を 追求する「知の旅」。知識がなく敗れ去る、世界の歴史で幾度も発生した事実は今でも変わりません。 脳科学、世界史、宗教、東洋思想、日本人の価値観、リーダーシップ論、マネジメント論、各戦略論などで「知の旅」をし、役に立つ情報をお届けします。

脳科学コラム1.「仕事ができる人」ってどんな人?

脳科学コラムを書く際、以下2人の先生の本をほぼ全て読破し(31冊)、分析。

○池谷 裕二氏 東京大学 薬学部教授 脳科学

        ビートたけしと安住アナウンサーが主演を務める土曜日夜のニュース

        番組「新・情報7daysニュースキャスター」によく出演されているの

        でご存じの方が多いのではと思います。

○中野 信子氏 脳科学

        明石家さんま主演の「ホンマでっか!?TV」でよく出演されています。

 

「仕事ができる人」解明の前に、人間の思考モードを知ってください。

人間は「システム1」「システム2」いずれかを使い、思考します。

 

「システム1」:経験に基づき、モノゴトを瞬時に判断する反射思考モード。

「システム2」: 本来どうあるべきか?どうすべきか?などの熟考思考モード

 

別途コラムで記載しますが、莫大なエネルギーを消費する脳は「極力楽したい」と考えています。そのため日常の意思決定のほとんどは「システム1」が担い、「システム2」はさぼっています。

 

上記行動経済学の基本原理を踏まえた上で、脳科学者は「仕事ができる人」をどのように考えているのでしょうか?

 

池谷 裕二氏VS中野 信子氏 どうなるのでしょうか?

 

池谷 裕二氏の見解:経験による直観力(システム1)を「仕事ができる人」と解釈

・「才能がある人」とは、反射力を上手に使える人のこと。「反射力」とはその場に

 応じて、瞬発力と即興性を持った合理的な判断ができること。何かに躓いたら、適切

 なアイデアを出し打開する、もめた時にどう発言すれば穏やかに解決できるか、など

 を素早く思いつく反射力。『パパは脳科学者』池谷 裕二 著 クレヨンハウス発行

 

・「ひらめき」と「直感」は全く異なる。「ひらめき」は論理的思考を重ねることで、

 なぜか?を説明できる。「直感」は自分でもうまく説明できないけれど「なんとなく

 そう感じる」こと。「ひらめき」の訓練を積み重ねることで「直感」が生まれるよう

 になってくる。

『単純な脳、複雑な「私」』池谷 裕二著 講談社発行

 

・勘は、経験によって培われた無意識で自動的な判断。経験を積んでベテランになるほ

 ど、勘が冴えわたる。

『脳はこんなに悩ましい』池谷 裕二 中村うさぎ著 新潮文庫版発行

 

 

中野 信子氏の見解:「システム1」の弊害を考慮し、「システム2」思考を重視。

・決断力がありすぎることによる弊害がある。「システム1」による“思い切りのよい

 決断”は、深い深慮や緻密な計算が欠けているため、後になって大きな問題が発生し

 てしまうことがある。時間はかかるけれど「システム2」による熟考が必要。

・決断力は“蛮勇”と隣り合わせ、そして一方の優柔不断は“慧眼”と隣り合わせ。優柔不

 断は決して悪いことではなく、「システム2」を使ってじっくり考えている証拠。

『あなたの脳のしつけ方』中野 信子 著 青春出版社発行

 

『結論』

「システム2」で熟考を重ねることにより、池谷 裕二氏が指摘している通り

「システム1」での直観は冴えわたります。但し「システム2」を鍛えることが大前提であることを池谷裕二氏、中野信子氏は指摘されています。

 

「システム2」による熟考鍛錬→「システム1」の直観力への反映が、「仕事ができる人になる」為に必要なゴールデン・ルールです。