知の旅

真のリーダー人材に欠かせない知識を 追求する「知の旅」。知識がなく敗れ去る、世界の歴史で幾度も発生した事実は今でも変わりません。 脳科学、世界史、宗教、東洋思想、日本人の価値観、リーダーシップ論、マネジメント論、各戦略論などで「知の旅」をし、役に立つ情報をお届けします。

「知の旅」を行う理由とは?

「教養」ブームですが、確かに知らなければ何も始まりません。

 

もともと、『孫氏の兵法』『クラウゼヴィッツ戦争論』を研究し、当時勤務していた会社の戦略立案で大いに活用していました。そこから中国古典に興味がいき、当時ブームになっていた『論語』を10冊ほど読んだのがきっかけです。

 

あらゆる学者が「これからは論語の時代」と言っていますが、なんともつまらない。本当に自分達の祖先はこんなつまらない書籍を古来より読んでいたのか?疑問に感じ、いつから日本で論語が読まれるようになったのか?調べてみました。

 

なんと江戸時代から、割と最近です。論語は2500年前からあるのですが、なぜ江戸幕府はわざわざ取り入れられたのでしょうか?「きれい事な価値観で民衆を縛りつけ、大人しくさせる」点にあったのではと思います。論語のこのような使われ方は、本場中国でも古来より同様です。「革命を起こそう!」勇ましい気持ちを元から絶ちます。

 

その逆、知識を武器に世界を変えたのがドイツから始まった宗教改革、ナポレオンが登場するフランス革命です。

 

ヨーロッパでは、キリスト教によって信仰の面だけでなく、政治や外交まで全てが支配されていました。なぜそんな状況になっていたか?

 

当時の世界共通語はラテン語、聖書をはじめ政治や外交文書も全てラテン語ラテン語の読み書きができるのは聖職者だけ。民衆は当然ながら、王侯もほとんどラテン語が分からず、結果自ずと全ての権力が聖職者に集中します。ドイツではマルティン・ルターが聖書をドイツ語に翻訳し、聖職者の特権構造を打ち破ります。

                                               

フランス革命のきっかけは、ルソーなどの啓蒙主義思想(民衆と国家のあり方)が登場し、皆が集まるサロンで「今の国の在り方は正しいのか?」民衆による熱い議論がパリのいたるところで繰り広げられていたことにあります。その熱が「国王、ふざけるな」という形で民衆による暴動となり、ルイ16世が処刑される所からフランス革命は始まります。

 

知らなければ何も始まりません。それに貢献するのが「知の旅」です。

 

「知の旅」では、以下を研究し、実務面でどう活かせるか?を紐解いていきます。

脳科学行動経済学、東大思考研究

○世界の各理論研究(リーダーシップ論、マネジャー論、人材育成理論、競争戦略等)

○「教養」レベルでななく、「実務レベル」で活かせる世界史、中国古典

 

どんなコトを書くか?

 

例)

脳科学を実社会で活かすためには?

・皆さん、東大卒には絶対勝てないと思っていませんか?

・それは、世界のリーダーシップ論から考察すると、多分違います。

・経営戦略理論、使う方がリスクは高い?

・世界史から学ぶ、すごいリーダーシップ力とは?

 

こんな感じで私見をどんどん書いていきます。モノゴトは色々な角度から見る必要があるので、指摘をしていただけると幸いです。

 

よろしくお願い致します。

リーダーシップ論コラム序章.「リーダーシップ論」をなぜとりあげるか?

「リーダーシップ」と「マネジメント」の違いは何?

多くの場合、双方の違いが認識されないまま、混同されているのが現状かと思います。

 

1.あまり知られていない「リーダーシップ論」

「リーダーシップを発揮せよ!」、常套句のように使われますが、「リーダーシップ」はそんなに単純なモノではありません。世界の文献で「リーダーシップとは何か?」を分析。更に実践ベースの「リーダーシップ人材のリアル」も記載しています。

 

2.『モノづくり大国、日本』という思い込みの問題

日本の真の強みの様に捉えられていますが、単なる思い込みです。コトが生まれ初めてモノが生まれます。日本で生まれた「コト」ってあるのでしょうか?某大手メーカーの洗剤を無駄にしない洗濯機のCMを見て、絶句しました。

 

3.今流行りの書籍に問題 

『FACTFULNESS』(ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング著 日経BP社発行)がビジネス書大賞2020 を受賞。人間には勝手に思い込んでいるコトがあり、データをもとに本質を見抜く重要性を伝えていますが、ちょっと内容に問題があります。

 

『FACTFULNESS』が「思い込み」としているのは、実は「単なる勘違い」です。人間の認知は「思い込み」でできており、「単なる勘違い」とは全く異なります。「思い込み」の正体は、脳科学のコラムで記載した「システム1」です。

 

※人間は「システム1」「システム2」いずれかを使い、思考します。

「システム1」:経験に基づき、モノゴトを瞬時に判断する反射思考モード。

「システム2」: 本来どうあるべきか?どうすべきか?などの熟考思考モード

 

自分の「思い込み(システム1)」は自分の意識では変えられません。「思い込みは自覚で変えられる」と記載する書籍もありますが、無理です。自身が認識できないからこそ、「思い込み」なのです。

 

・人は自分の意識下にあることしかコントロールできない。

『世界最高の育成機関で幹部候補だけに教えられている仕事の基本』

田口 力著 角川書店発行

 

「思い込み(システム1)」を突破するには『「システム2」強化→「システム1」への反映』が、唯一の方法です。「システム2」の強化が不可欠です。

 

・「結果について振り返りを行う→教訓を導き出す→次の判断や行動に活かす」という

 サイクルこそが、ビジネスパーソンとしての成長を促進させる。

『世界最高の育成機関で幹部候補だけに教えられている仕事の基本』

田口 力著 角川書店発行

 

「リーダーシップ人材」は、考えに考え尽くす過程で「思い込み」を打ち破り、未来への羅針盤を創り上げます。並大抵のことではありませんので、できる素質を持つ人材は限られています。故に、企業に「リーダーシップ人材」がいるかどうかで未来は大きく変わります。

 

リーダーシップ論コラム1:「マネジャー人材からリーダーシップ人材育成」へとシフト

企業が求める人材は「マネジャー人材」から「リーダーシップ人材」へとシフトしている理由は、日本企業の下記現状のためです。「マネジャー人材」と「リーダーシップ人材」は全く異なります。「リーダーシップ人材」の役割とは何か?その役割を達成できる人材とはどのようなタイプか?をコラムで記載していきます。

 

・今の日本企業の閉塞感は「行先が見えないままひたすらに死の行軍を求められてい

 る」状況にあること。ビジョンは多くの人を共感させるものになっているのか?

 「理性」ではなく「感性」がなければ、ビジョンは成り立たない。ビジョンを描くの

 はリーダーの仕事。

『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』山口周著 光文社新書発行

 

・「マネジャーとリーダーシップの違い」を認識すべき、と最近しばしば議論されてい

 る。リーダーシップとは、経営者層を指すものではなく、「自らビジョンと戦略を描

 き、変革を実現できる」ビジネスパーソンを指す。「マネジメント教育からリーダー 

 シップ教育へ」と方向性が移ってきている。

『企業内人材育成入門』荒木淳子、北村士郎、長岡健、橋本論著 ダイヤモンド社発行

リーダーシップ論コラム2.器用人材は「リーダーシップ人材」にはなれない?

脳科学の旅」で記載しましたが、「集中力がなくミスが多い」「記憶力もあまりよくない」「自分自身の能力に強いコンプレックスを持ち、努力できる」人材こそが、企業の未来を想像し創り上げていく、「リーダーシップ人材」です。

 

「リーダーシップ」は誰でも発揮できるものではありません。未来が鮮明に見える「戦略眼」を持つ人材の特殊能力です。あらゆることをそつなくこなす優秀な人材でも、未来への羅針盤がなければ「リーダーシップ」を発揮したくてもしようがありません。日本企業低迷理由の1つは「優秀な人材=リーダーシップを発揮できる」を前提としてしまい、結果「リーダーシップ不在」となった点です。

 

「戦略眼」の素質を持つのは、「不器用人材」です。「不器用人材」はなぜ不器用なのか?モノゴトを大局で見る素質のためです。その為、オペレーショナル的なコトを苦手とし、「要領が悪い」「ミスが多い」などが特徴的。何でもこなせる「器用人材」とは全く異なり、大体「あいつはできない奴」とレッテルを貼られています。

 

・戦略的素養を持つ社員は細部を重視しない為、下位レベルの仕事で苦労する能性が高い。キャリアの初期から保護しなければ、育成の初期段階で除去されかねない。

『マネジャーの教科書』マイケル D.ワトキンズ著 ダイヤモンド社発行

 

 

企業の未来を創る「戦略眼」を身に着ける原動力は「なぜ自分にはできないのか?どうすればできるか?」、自分の能力へのコンプレックスです。そこから自分の能力の120%を出し尽くし現状を打破する、とてつもないエネルギーが生まれます。「器用人材」にはそこまでの原動力がありません。自分の能力の100%未満で済むためです。戦略眼を身に付けるためには『120%のエネルギー』が必須です。

 

・「フロー(爆発的成長)」を発生させるためには、できそうでできない課題に取り

 組む(120%の努力が必要)ことである。

『モチベーション3.0』ダニエル・ピング著 講談社社発行

 

・テストの内容は同じだが、2つのパターンで成績に影響があるか?をテストした。

 文字が読みやすいテストを受けた学生グループ、文字がフォントが小さいなど読みに

 くいテストを受けた学生グループ、どちらの方が成績が良いか?読みにくいテストを

 受けた学生グループの方が成績が良い。認知に負荷をかけると、脳は本気モードに突

 入する(120%の努力)。

『ファスト&スロー(上)』ダニエル・カーネマン著 早川書房発行

リーダーシップ論コラム3.「リーダーシップ人材」の真骨頂

「リーダーシップ人材」には新しい可能性が鮮明に見えています。未来に不安を抱える従業員には「リーダーシップ人材」が描く「未来図」は希望の光。「リーダーシップ人材」は実現に全身全霊を使います。

 

競合チェーン店に対し自社100店舗で挑む時、最初から本気の店舗はせいぜい20店舗。残り80店舗を動かす為、「リーダーシップ人材」は本気度を知らしめます。逐一成功事例の共有、追加施策の矢次導入。進捗度のランキング化で、不振店舗には自らがテコ入れ。「本気で取り組まないとまずい」恐怖心を煽る『厳しさ』も「リーダーシップ人材」の特徴です。

 

なぜ「リーダーシップ人材」はそこまでするか?未来が鮮明に見えるが故の「皆を助ける」使命感です。不器用人材が「リーダーシップ人材」の素質を持つのは、この点にもあります。

 

〇「リーダーシップ人材」の特長1:『現実を見抜く』

・組織の大半のひとが当然視している仮定が環境にそぐわなくなった時、いち早く見抜

 くのが「リーダーシップ」。『組織変革のビジョン』金井壽宏著 光文社新書発行

 

経営学者で唯一ノーベル賞を受賞しているH.A.サイモンには「現状への不満解消こそ

 が探索をはじめさせる」、「不満足―探索仮説」と呼ばれているモデルがある。ほと

 んどの人は会社や仕事に愚痴をこぼすだけでは、探索(変革)ははじまれない。不満

 を解消しようとして初めて、探索(未来に向けた変革の旅)がはじまる。

『組織変革のビジョン』金井壽宏著 光文社新書発行

 

・学び、成長し、絶えず模索し続ける。秘訣は「それはなぜだ」と自問する。

『「人の上に立つ」ために本当に必要なこと』ジョン・C・マクスウェル著 ダイヤモンド社発行

 

・組織を成長させるためには、学習意欲を持ち続けなければならない。学習意欲を高め

 るためには、自分が全てを知っているわけではない事を認める必要がある。

『「人の上に立つ」ために本当に必要なこと』ジョン・C・マクスウェル著 ダイヤモンド社発行

 

・リーダーらしく考えられるようになるためには、まずは行動すること。新しいプロジ

 ェクトや活動に飛び込み、全く異なるタイプの人に接し、新しい仕事のやり方を試し

 てみるのである。

『マネジャーの教科書』ハーバード・ビジネス・レビュー編 ダイヤモンド社発行

 

・企業理念とその実現を目指す現場の仕事との間には必ず矛盾が生じることを理解して

 いる。この矛盾は、緊張を生み出す一方創造性を引き出し、更なる成長へとつなが

 る。

『リーダーシップの教科書』ハーバード・ビジネス・レビュー編 ダイヤモンド社発行

 

・根拠に基づく意見を持つためには、「事実主導」が「データ主導」であってはならな

 い。データを何か神のようにあがめる傾向がある。信頼性のあるデータは確かに必要

 だが、定性的な判断が実は欠かせない。チーム内でそのような意見を酌み交わせる事

 が大切。データはあくまで参考にとどめる必要がある。

『NETFLIKSの最強の人事戦略』パティ・マッコード著 光文社発行

 

・統計的に有意義なデータをとろうとすると、一定数以上のサンプルが必要となり、ど

 うしてもセンスが悪い人達のセンスが混じってしまう。データドリブンの致命的な

 欠点。

『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』山口周著 光文社新書発行

 

・議論が十分にされ尽くした、その先が大切。「君、その反対意見を挙げて欲しい」と

 反論を聞くうちに、皆が更に多面的に問題を考えるようになる。この「検討した後

 で」の順序が大切。「今」を出発点としてしまうと、新しい状況に対応できるチーム

 にすることはできない。このミーティングでは1チーム3~4名の小集団にすること

 が秘訣。大きな  集団で発生する集団志向を避けることができるし、全員意見を

 言わなければならなくなるから。

『NETFLIKSの最強の人事戦略』パティ・マッコード著 光文社発行

 

・優れたリーダーは、状況認識が継続的なプロセスであることを心得ており、様々な

 知見、データ、経験、対話、分析を総合して地図を書き換えていく。

『リーダーシップの教科書』ハーバード・ビジネス・レビュー編 ダイヤモンド社発行

 

・専門家の弱点は、現状の知識に制約されること。新鮮な目でとらえられる人が、無知

 故に制約をすり抜けることがある。

『NETFLIKSの最強の人事戦略』パティ・マッコード著 光文社発行

 

 

○「リーダーシップ人材」の特長2:自分の考えにがんじがらめにならない

・有能なリーダーは「問いかける」。

『リーダーシップの教科書』ハーバード・ビジネス・レビュー編 ダイヤモンド社発行

 

・自分が立てたアクションプランに縛られてはならない。むしろ頻繁に再検討した

 方が良い。

『リーダーシップの教科書』ハーバード・ビジネス・レビュー編 ダイヤモンド社発行

 

・ナポレオンは、計画通りに勝利を収めた戦闘など存在しないと語ったと言う。

 しかし、ナポレオンは、歴代のどの将軍よりも入念に計画を立てていた。

『リーダーシップの教科書』ハーバード・ビジネス・レビュー編 ダイヤモンド社発行

 

・初期の『世俗権力二論』におけるロックは政治権力の絶対的な統制権を認めて権威

 主義的立場に立っていた。しかし、同じロックが、後期の『寛容性についての手紙』

 では、個人や教会の政治権力からの自由を擁護するリベラルな立場へと姿勢を変え

 た。『ジョン・ロックー神と人間の間』加藤 節著 岩波新書発行

 

 

〇「リーダーシップ人材」の特長3:『変革しようとする気概』『未来を見せる』

・組織を理解する最良の方法は、「それを変えてみよう」という気持ちである。

『組織変革のビジョン』金井壽宏著 光文社新書発行

 

・「うちの会社は順調にいっている。環境を的確につかまえて、うまく適応しているか

 ら大きな改革は必要ない」と考えている人が大勢いるとしたら、その会社はいずれ

 危なくなる。

『組織変革のビジョン』金井壽宏著 光文社新書発行

 

・自分を貫くものがあれば、組織に対してどうしても多少ギスギスする位の方がいい。

『組織変革のビジョン』金井壽宏著 光文社新書発行

 

・優れたリーダーに際立った共通点が1つだけある。それは自らすすんで冒険する

 こと。『「人の上に立つ」ために本当に必要なこと』ジョン・C・マクスウェル著 ダイヤモンド社発行

 

・リーダーは全員を共通の夢へと向かわせる。1人ひとりに当事者意識を持たせ、周囲

 の人をもリーダーにする。

『リーダーシップ・チャレンジ』ジェームズM・・クーゼス バリー・Z・ホズナー著 海と月社発行

 

 

〇「リーダーシップ人材」の特徴4:楽観主義と克服力

・最高のリーダーは課題に対する今の評価がどうであれ、克服する施策があると信じて

 いる。どんな困難にも対応できると信じる楽観力は訓練で習得できない。

『最高のリーダー、マネジャーがいつも考えている たったひとつのこと』

マーカス・バッキンガム著 日本経済新聞出版社発行

 

・状況に適応しながらも自分らしさを失わないリーダーシップスタイルへと進化させる

 ために必要なのは「遊び心」。しっかり遊び心を持って臨めば、可能性に対してより

 オープンになれる。

『マネジャーの教科書』ハーバード・ビジネス・レビュー編 ダイヤモンド社発行

 

 

〇「リーダーシップ人材」の特長5:『厳しさ』

・優しさばかりでなく、時には威圧を示さなければならない。リーダーはナメラレては

 話にならない。従業員と戦っても勝って見せる勇気が必要。「争いなき者は常に亡

 ぶ」。

渋沢栄一著「孔子 人間どこまで大きくなれるか」三笠書房発行

 

・名将は「厳」と「仁」のバランスを見極めている。「厳」を欠けば甘えの構造を

 生む。

『兵法三十六計』守屋洋著 三笠書房発行

 

 

〇「リーダーシップ人材」の特長6:『自己統制力』

・自分の感情や衝動をコントロールできる人は、周囲の人と信頼関係を築くことができ

 る。

『マネジャーの教科書』ハーバード・ビジネス・レビュー編 ダイヤモンド社発行

 

・自分をコントロールできるリーダーは、ひっきりなしの合併と分裂、技術革新など

 急激な変化に直面しても、遅れることなくついていくことができる。

『マネジャーの教科書』ハーバード・ビジネス・レビュー編 ダイヤモンド社発行

 

・意欲の高い人は実績が思わしくない時でも楽観的な態度を保っている。自己統制の

 メカニズムが働いて、挫折や失敗によって感じる欲求不満や気分の落ち込みを克服し

 ている。

『マネジャーの教科書』ハーバード・ビジネス・レビュー編 ダイヤモンド社発行

 

・リーダーとして成長する上で重要なのは、幅広いリーダーのロールモデルから学び、

 自分のモノにすること。

『マネジャーの教科書』ハーバード・ビジネス・レビュー編 ダイヤモンド社発行

 

・組織内の人間は「自分達のリーダーは、組織に安定をもたらす能力の持ち主かどう

 か」リーダーの言動を観察している。だからこそリーダーは、皆が課題にチャレンジ

 できるよう、自信にあふれた態度でコミュニケーションをする必要がある。

『リーダーシップの教科書』ハーバード・ビジネス・レビュー編 ダイヤモンド社発行

 

 

〇「リーダーシップ人材」の特長7:若い時に大きな試練に遭遇している。

・最も一般的で何より重要なのが、キャリアの早い段階で大きな試練に遭遇している

 事。20代か30代で、リーダーの役割を果たそうと努力し、リスクを背負い、成功と失

 敗からリーダーシップの難しさ、リーダーシップが変革を生み出す可能性を学ぶ。

『リーダーシップの教科書』ハーバード・ビジネス・レビュー編 ダイヤモンド社発行

リーダーシップ論コラム4.「リーダーシップ人材」の限界

「リーダーシップ人材」の限界は、「他の意見をなかなか受け入れることができない」点です。なぜか?「リーダーシップ人材」は、他の人には見えていない未来の景色が鮮明に見えています。同レベルの異なる意見は「なるほど」と大いに参考にしますが、未来の景色が見えていない凡庸な意見を基本許すことができません。スティーブ・ジョブス氏、本田宗一郎氏が典型的です。

 

自分よりも上層部人材の意見が的外れな場合、未来の景色が壊されかねません。「リーダーシップ人材」は、熱心且つあまりにも不器用すぎるため、その上層部人材と議論で衝突、結果ほぼ失敗します。「リーダーシップ人材」が組織の政治力で潰されるのは、この点にあります。

 

それではどうすればよいか?

「リーダーシップ人材」は、「マネジメント力」が強い人材に欠点を補ってもらう事が大切です。本田宗一郎藤沢武夫スティーブ・ジョブスとティム・クックのコンビなどが典型的です。

 

〇「リーダーシップ人材」には「マネジメント人材」の支援が不可欠

・変革を起こすことがリーダーシップの役割であり、変革の方向性を決めるのはリーダ

 ーシップの基本。計画の立案はマネジメントプロセスであり、変革ではなく、結果を

 秩序立って生み出すよう設計される。

ダイヤモンド・ビジネスレビュー『リーダーシップの教科書』ダイヤモンド社発行

 

そもそも「マネジメント人材」とは何か?を踏まえた上で、「リーダーシップ人材」に

は、どのような「マネジメント人材」が必要か?を次回記載します。

リーダーシップ論コラム5.「マネジャー人材」の役割

「マネジメント人材」の役割:1~3で成果を出す

1:チームマネジメント  

2:進捗管理

3:ボスマネジメント

 

 

 1.チームマネジメント

○部下の強みを築く

・マネジャーの仕事は部下の強みを築くこと。自己認識を促すことではない。

『最高のリーダー、マネジャーがいつも考えている たったひとつのこと』

 

・人はなぜ辛く困難な状況でも、そこにやりがいを見出すのか?第一にやっている事

 自体に楽しみを感じていること。第二は「夢」。

『企業内人材育成入門』荒木淳子、北村士郎、長岡健、橋本論著 ダイヤモンド社発行

 

 

○部下へフィードバックを行う

・部下へのフィードバックを恐れるマネジャーは「人格を変えろとは言えないが、態度

 を変えろとは言える」という古いことわざを忘れてはならない。

『マネジャーの教科書』ハーバード・ビジネス・レビュー編 ダイヤモンド社発行

 

日経ビジネスの調査で、仕事に関する不満の4割が「仕事の目的や目標が曖昧」。

『企業内人材育成入門』荒木淳子、北村士郎、長岡健、橋本論著 ダイヤモンド社発行

 

・フィードバッグで一番大切なのは、「あなたはぼんやりしている」のような、相手の

 性格描写ではなく、行動に関するフィードバックを与えること。またそれは相手が

 改善できることでなければならない。

『NETFLIKSの最強の人事戦略』パティ・マッコード著 光文社発行

 

・ネガティブ・フィードバックの際には、「それが改善されれば、更に大きな成長が

 できる」ポジティブな面にも触れることが大切。

『人事こそ最高の経営戦略』南 和気著 かんき出版発行

 

・期首に立てた目標が期末には形骸化するケースが多々ある。期中に頻度高く、目標に

 対する進捗管理やアドバイスを行う必要がある。

『人事こそ最高の経営戦略』南 和気著 かんき出版発行

 

 

○部下に刺激を与える

・部下が停滞するのは、視野が狭くなっている時。部下の伸びはマネジャーの視野の

 広さ次第。「どのように使えるか」を踏まえた上で新しい情報を社内に発信する。

『25年間「落ちこぼれチーム」を立て直し続け分かった マネジャーとして一番大切なこと』八木昌実著 ダイヤモンド社発行

 

・個人の心や気持ちに焦点を当ててモチベーションを引き出そうとする、心理学に根拠

 を置いたワークショップは以前からある。そして、それらはそれなりに効果をあげて

 いる。但し、この種の効果は多くの場合一時的である。しかし「所詮カンフル剤でし

 かない」という意味では限界がある。本当に必要なことは、いかに内発的な動機が再

 生産されやすい環境づくりが作れるか?にある。

『なぜ部下はやる気をなくしているのか』柴田 昌治著 日経ビジネス人文庫発行

 

 

○「学び」を定着化させる。

・上司が学び続けていることが最高の部下指導。

『人を自在に動かす 武器としての韓非子』鈴木博毅著 プレジデント社発行

 

・大人は学ぶべき内容に関連性が見いだせないとき、彼らは学ぼうとしない。関連性を

 見出すのは、会社で働く社会人である場合、仕事で生じた問題を解決したいと願う時

 である。大人の学習には確固たる動機が必要。

『企業内人材育成入門』荒木淳子、北村士郎、長岡健、橋本論著 ダイヤモンド社発行

 

・ケラーのARCS(アークス)モデルで学習のPDSを回す。 

  • 注意(attention)

学習者に「面白そうだな」と思わせること

  • 関連性(relevance9

与えられた課題を受け身的にこなすのではなく、学習者が自分のものとして積極的に取り組めるようにすること。

  • 自信(confidense)

ゴールを明示し、成功の機会を与える。自分の努力によって成功したと実感させる。

  • 満足感(satisfaction)

目標に到達した学習者を認め、公正な評価を行う。

『企業内人材育成入門』荒木淳子、北村士郎、長岡健、橋本論著 ダイヤモンド社発行

 

セミナーという「教育」だけで「学習」は実現しない。業務の中での上司や先輩から

 の指導、実際のプロジェクト経験から紡ぎ出された実践知、更には学習者本人の

 「いいプロジェクト運営を実現したい」意志によって、はじめて効果的な「学習」と

 なる。

『企業内人材育成入門』荒木淳子、北村士郎、長岡健、橋本論著 ダイヤモンド社発行

 

・「教育」では、人材育成担当者が何を学ぶべきかを決めることはできない。「何が

 重要課題か」を見極めること自体が学習の狙いである。

『企業内人材育成入門』荒木淳子、北村士郎、長岡健、橋本論著 ダイヤモンド社発行

 

OJTのような職場での学習をデザインする「学習環境デザイン」に力を入れている

 企業では、研修やe-ラーニング等の「イントラクショナルデザイン」はほぼなされて

 いない。「イントラクショナルデザイン」に力を入れている企業は「学習環境デザイ

 ン」を軽く見る。

『企業内人材育成入門』荒木淳子、北村士郎、長岡健、橋本論著 ダイヤモンド社発行

 

 

○部下を尊重する

・何か相談された時に「ちょっと待って、今は忙しいから」はNG。その場で必ず「そ

 うか」と話に興味を示し、まずは聞くこと。上からの目線でなく、同じ所まできちん

 と降りて一緒に苦しみ、悩み、考えてくれるマネジャーを部下は求めている。

『25年間「落ちこぼれチーム」を立て直し続け分かった マネジャーとして一番大切なこと』八木昌実著 ダイヤモンド社発行

 

・自分の頭で考えるスタッフになってもらうには、失敗を許容するゆとりを持ち、部下 

 が自分の頭で考えて失敗するリスクを採った勇気をたたえること。部下へ指示ばかり

 出していたら、自ら考えるようにはならない。人間は本来「できない」を「できる」

 へ変えるこの上なく好きな生き物。

『自分の頭で考えて動く部下の育て方』篠原 信著 文藝社発行

 

・人は、自分が環境を変えたり、自分でやり方を自由に決めたりできない状況が続く

 と、元々もっていた意欲を失い無気力になってしまいがちになる。

『企業内人材育成入門』荒木淳子、北村士郎、長岡健、橋本論著 ダイヤモンド社発行

 

・やさしい問題で自信をつける「成功経験群」と、やさしい問題と難しい問題を与え、

 難しい問題ができなかったとき、それは能力不足とする「努力帰属群」の子どもグル

 ープを比べると、「努力帰属群」の子供の方が失敗してもやる気を失わない。能力は

 努力で変えられるという考えを持つ人は、能力は固定的でコントロールできないもの

 だという考えを持つ人に比べ、内発的に動機づけられやすい。

『企業内人材育成入門』荒木淳子、北村士郎、長岡健、橋本論著 ダイヤモンド社発行

 

 

○部下に依存しすぎない

・チーム全体に影響を及ぼすような案件でも、1対1で対処しようとする新米マネジャ

 ーがあまりにも多い。その結果、極めて限られた情報に基づいて意思決定することに

 なる。

『マネジャーの教科書』ハーバード・ビジネス・レビュー編 ダイヤモンド社発行

 

・有能なマネジャーは、特定のメンバーに歩み過ぎない。歩みすぎると、リーダーがい

 くら突き放そうとしても「まあいいじゃないですか」と部下が甘えに逃げかねない。

『なぜあなたがリーダーなのか』ロブ・ゴーフィー ガレス・ジョーンズ著 英治出版発行

 

          

2.進捗管理

ビジネススクールでは「組織を、社員を管理する」を『マネジメント』とする。しか

 しやりがいのある仕事の「日々の進捗」重視の方が、社員や組織全体の管理はうまく

 いく。

『95%の人が見逃している「小さな進捗の力」マネジャーの最も大切な仕事』

テレサ・アマビール スティーブン・クレイマー著 英治出版社発行

 

・プロセスを通るにつれ価値が高くなる。価値が最低の段階で問題を発見し解決すべ

 き。

『人を育て成果を最大にするマネジメント ハイアウトプットマネジメント』

アンドリュー・S・グローブ著 日経BP社発行

 

 

3.ボスマネジメント

「リーダーシップ」人材に必要なのは、ボスマネジメントに長けた人材です。ボスマネジメントは単に「上司の意向を受け、意向に沿う形にすること」ではありません。「こちらの意向を上司に飲んでもらう形でけりをつけること」です。マネジャーの力量差が最も生じるポイントです。

 

・マネジャーが上司とうまくやることはマネジメントの重要な一部であるにも関わら

 ず、上司にはほとんど受け身になっているマネジャーが多い。このような態度は本人

 のみならず会社に悪影響を及ぼす。

『マネジャーの教科書』ハーバード・ビジネス・レビュー編 ダイヤモンド社発行

 

・上司とマネジャーの関係は持ちつ持たれつとはいえ、マネジャーの方が上司に依存し

 ている。そのため、マネジャーの部下は、自分の行動や選択肢がマネジャーの判断に

 よって制約を受けると、マネジャーの能力へのフレストレーション、時には怒りを感

 じる。

『マネジャーの教科書』ハーバード・ビジネス・レビュー編 ダイヤモンド社発行

 

・上司とうまくやれるマネジャーは、上司の優先順位や関心ごとは変化することを心得

 ている。『マネジャーの教科書』ハーバード・ビジネス・レビュー編 ダイヤモンド社発行

 

・優れたマネジャーになるには、仕事に対する「想いの力」が必要。「想い」を抱き始

 めると、周囲の考え方と違いが出る。「周囲との考え方の違いを乗り切る力」が、

 マネジャーに最も求められる力。「違い」を正しく認識、解決方法を持つことが成果

 へつながる。

『これからのマネジャーの教科書』 グロービス経営大学院著 ダイヤモンド社発行

 

・あきらめずに、想いを抱き続けるマネジャーの特徴は「ゆずれないこだわり」を持っ

 ている。「ゆずれないこだわり」を持っているからこそ、壁にぶつかっても折れる

 ことはない。

『これからのマネジャーの教科書』 グロービス経営大学院著 ダイヤモンド社発行    

 

・大切なのは、こちらが言わんとしている厳しい中身を、相手に自分のこととして受け

 取ってもらうことである。いくら大切な事を言ったとしても、相手がハナから拒否反

 応を示すようでは全く意味がない。その為に、話をするとき、まず相手の言うことに

 真摯に耳を傾ける姿勢を持つ事である。

『なぜ部下はやる気をなくしているのか』柴田 昌治著 日経ビジネス人文庫発行

 

・意見が対立した時、両者の言い分を取り入れた折衷案は両者の利点を消してしまう。

 同じ器に氷と炭を入れてしまうと、氷は溶け、炭は鎮火してしまう。対立した場合、

 どちらか一方を採用し判断すべき。『氷炭は器を同じくして久しからず』

『非常のススメ 超訳 韓非子書』永井義男翻訳 辰巳出版発行